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揺れやすい地盤

地形は、一般的に山地、丘陵地、台地、低地で構成されます(図1)。河川の浸食・運搬・堆積作用により、山地や丘陵地では斜面が浸食され、そこで発生した土砂が運搬されて下流部で堆積し、低地が形成されています。山地や丘陵地では地盤が固く、河口付近の低地では軟弱地盤が広がっているモデルが一般的なものとなります。


図-1 地形の種類
出典 建設技術者のための地形図読図入門(古今書院刊)に石井一徳氏が加筆

さて、ここで地震の「揺れやすさ」については、浅部地盤(地表から30mまでの地盤)の平均S波速度をもとに、簡易的に地盤の増幅度を全国水準で求める手法が、防災科学技術研究所研究資料で提言されています。
地震の揺れは、浅部地盤の固さより異なります。固さを示す指標として、表層地盤増幅率が用いられます。表層地盤増幅率は、軟らかい粘土層や緩い砂層からなる浅部地盤であれば、高い増幅率となります。図2では、Bの方が高い表層地盤増幅率であり、Aより軟らかい地層であると言えます。


図-2 表層地盤増幅率と揺れやすさの関係
出典 防災科学技術研究所 地震ハザードステーション

軟らかい地層で形成される浅部地盤は、河川下流に形成される後背湿地や三角州などの軟弱地盤です。河口付近に分布する干拓地や埋立地等は、造成された地形面であり自然地盤に比べて軟らかい状態なので、高い増幅率の地盤と評価され、揺れやすいといえます。

「株式会社アトラス 福元 和孝」

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遷急線

遷急線とは、山地斜面を尾根から見下ろしたとき、急に傾斜がきつくなる地点(遷急点)を結んだ線のことで、一般的には、斜面崩壊や浸食が発生しやすい場所とされています。


図-1 遷急線と浸食に対する斜面の安定性
出典 画でみる地形・地質の基礎知識(1983)鹿島出版社,p33

では、遷急線はどのようにしてできるのでしょうか。また、遷急線付近では、なぜ斜面崩壊や浸食が発生しやすいのでしょうか。図-2を用いて解説します。


図-2 遷急線と浸食に対する斜面の安定性
出典 画でみる地形・地質の基礎知識(1983)鹿島出版社,p77

■stage-1の形成
岩盤からなる平坦面および緩斜面が、河川により浸食されるとstage-1になります。河川が下方に浸食することを下刻と呼びます。この段階までに、下刻されなかった山頂緩斜面では、風化が進行します。風化により形成される土砂状の地層(風化層)は、谷の地形面に沿って河谷付近で最も薄く、頂部で最も厚くなります(図-2(A)のw層)。この形態が岩盤分類の基本の考え方になります。原面を下刻し谷斜面を作った境界が、地形変化点(勾配変化点)ですので、ここが遷急点となります(図-2の赤丸)。

■stage-2の形成
stage-1からさらに下刻が進むと、新たな谷を形成して、stage-2になります。この時、図-2の黄丸の遷急点とその下方斜面に風化層ができます。風化は、stage-2で形成された斜面と、既にstage-1で形成されていた風化層に作用し、山頂緩斜面で厚い風化層を形成します。

■stage-3の形成
stage-2からさらに下刻が進むと、新たな遷急点(図-2の青丸)と健岩からなる急崖を伴う谷地形を形成して、stage-3になります。岩盤地山の風化層は、河谷部で薄く、斜面上方に向かって厚くなり、山頂緩斜面で最も厚くなります。大局的には、谷部で薄く、頂部で厚くなります。

■遷急線付近では、なぜ斜面崩壊や浸食が発生しやすいのか
遷急点より下部斜面は、上部斜面より急な勾配であるため、不安定になりやすい状態にあり、豪雨などにより崩壊や地すべりが発生することがあります。崩壊や地すべりが発生すると、斜面が浸食されて、遷急点は次第に後退していくことになります。

「株式会社アトラス 福元 和孝」

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接地抵抗を利用した地下水位簡易測定法

接地抵抗※1を利用した地下水位簡易測定法は、地下水位以浅と以深とで地盤中の接地抵抗の測定値が異なる(地下水位以深は接地抵抗が小さくなる)ことに着目して、地下水位を測定する手法です。従来の地下水位測定法と比較して、‘地下水観測孔の設置を必要としない’、‘粘性土でも放置期間を要せず測定できる’などの特徴を有する技術です。整理方法については、特許出願中※2です。

図1接地抵抗のイメージ※1:接地抵抗
金属の電極と土という互いに異なる性質の電気的接続において、必ず存在する電気抵抗のことです。一般には、アース線からの電気を地面に逃がす際の電気の流れにくさを示す指標値です(図1参照)。
※2:特許使用料
特許出願中の技術であり、測定に当たっては実施契約に基づく特許使用料が必要です。

接地抵抗の測定方法

測定する箇所に接地電極E、補助電極P、補助電極Cを接地して接地抵抗を測定します(図2参照)。地下水位を測定する際には、接地電極Eとなる金属棒を地中に貫入させながら、深度方向の接地抵抗の変化を確認します。
実際の地盤調査では、スウェーデン式サウンディングや簡易動的コーン貫入試験のロッドを接地電極Eとし、貫入させるごとに接地抵抗を測定します(図3参照)。この接地抵抗を深度分布図に整理し、その変化傾向から地下水位を判断します(図4参照)。

図2接地抵抗の測定概念,図3スウェーデン式サウンディングを併用した地下水位測定状況

図4実測例の模式図

接地抵抗値の深度分布による地下水位の評価方法

図5地下水位の評価方法(方法1)
接地抵抗は、地下水位の上下で1/2~1/10 程度変化します。よって、接地抵抗の深度分布が大きく変化する深度を地下水位と判断します(図5参照)。
(方法2)
接地抵抗の理論値は「地下水位が無い一様な地盤」と仮定した場合、式-1 で得られます。これに対して、地下水位がある場合の計測値は小さい値を示すため、理論値の差に着目し、計測値が理論値から大きく乖離した深度を地下水位と判断します(図5参照)。

R=ρ/2πL×Ln(2L/r)    (式-1)
ここに
R:接地抵抗(Ω)
ρ:地下水位より上の大地抵抗率(実測値より設定(Ωm))
L:接地電極の地中部の長さ(m)
r:接地電極半径(m)

地下水位の評価事例

図6接地抵抗を利用した地下水位簡易測定例(ため池堤体での測定事例)

「基礎地盤コンサルタンツ株式会社 久賀 真一」

<参考文献>
・柳浦良行ほか:接地抵抗を応用した地下水位簡易測定法,第50 回地盤工学研究発表会,2015
・千葉久志ほか:接地抵抗を応用した地下水位簡易測定法の実施例,第50 回地盤工学研究発表会,2015
・赤坂幸洋ほか:接地抵抗を利用した地下水位簡易測定法のため池調査への適用事例,第 51 回地盤工学研究発表会,2016.

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土木材料の色彩の数値化

原理

 岩石や土砂の色彩は、風化作用、熱水変質作用、そのほかの化学的変化や含有物によって左右されている。そのため岩石、土砂の色彩を定量的に表現すれば、風化変質の程度や含有鉱物量などの定量的判断指標に応用できる。
測定は、客観的・定量的測定法として優れ、また軽量で操作が簡便な分光測色計(扶桑プレシジョン製 PRIMO MIRAGE 写真-1)にて行う。当測定器の表色はマンセル系、XYZ系、L*a*b*系が可能で、340-750nm間の分光反射率も得られる。図1に一般的に用いられる、L*a*b*座標系を示す。
風化作用の場合は一般的に風化が進行するにつれて、岩石の色彩が赤褐色系に変化していく。したがって特にa*、b*値は、数値が大きくなるほうに変化する。

分光測色計
写真-1 PRIMO MIRAGE


図-1 L*a*b*座標系

分析目的および結果の利用方法例

 図-2は岩石の色彩(b値)あるいは450nm付近の反射率と、圧縮強度の関係図である。強度が約100MN/m2以上と硬質な試料(古第三紀花崗岩)において、それぞれ良好な関係が認められる。分光測色によって、未風化硬質な岩石の強度特性の把握の可能性を示した例である。
図-3は、セレンを環境基準値以上溶出する試料の判別図である。色彩値a*b*値の分布(分光測色)により、セレン溶出岩の判定がその場で瞬時に把握できる例である(a*b*値が、赤あるいは青線より左側に分布する試料はセレンを基準値以上溶出する岩)。
ともに、岩石の風化あるいは変質に伴う色の変化と物性値の変化がリンクした例といえる。間接的な物性値推定方法のため、適用に制限や工夫が必要であるが、分光測色計は軽量かつ簡易で、その場分析が可能であることから現場作業にも適している。今後も、様々な分野への応用が期待できる。

岩石の色彩(b値)の反射率と、圧縮強度の関係図
図-2 分光測色結果利用例(1)

環境基準値以上溶出する試料の判別図
図-3 分光測色結果利用例(2)

((株)エイト日本技術開発 磯野陽子)

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天然ダム

 数100mmを超える降雨や大規模な地震等では山腹斜面の深部の基岩部分を含む深層崩壊等により、多量の土砂が河川に堆積し流水をせき止めるものを天然ダムといいます。天然ダムは水位が上昇し、天端から越流を始めると決壊し、下流に大量の土砂と水が流れることがあります。流域面積(雨が集まる範囲の面積)が広い天然ダムでは数時間で決壊することもあります。
 越流以外にも漏水で堤体を形成する土砂が流れ出すこと(パイピング)による決壊や天然ダムの堤体内水位が上昇して堤体がすべりを生じることにより崩れるケースもあります。

湛水池と深層崩壊斜面、天然ダム堤体の写真
図1 平成23年台風12号による天然ダムと深層崩壊斜面(奈良県十津川村栗平地区)

「株式会社エイト日本技術開発 海原荘一」

 

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深層崩壊

 深層崩壊とは山腹斜面の表層の堆積土砂層だけでなく、深部の基岩(岩盤)部分を含む深度の大きい斜面崩壊のことです。深層崩壊の発生は地下の地質構造(割れ目の方向など)や深層地下水が影響して生じると考えられています。また、降り始めからの雨量が数百mmという大きな降雨や大規模な地震により発生します。深層崩壊は降雨終了後数時間以上経過して発生することもあります。
 地すべりも基岩部分を含む土塊の移動現象ですが、地すべりは土塊の移動速度が遅いものが多いのに比べ、深層崩壊は崩壊土砂の動きが速く一瞬で広い範囲の山腹斜面が崩れてしまうこともあります。
 深層崩壊では崩壊土砂が数百万m3に及び、河道部ではその崩壊土砂で天然ダムを形成することもあります。河川の対岸で生じた深層崩壊で被災するなど表層だけが崩壊するケースよりも被害の及ぶ範囲が広いという特徴があります。
 近年では2008年の岩手・宮城内陸地震や2011年台風23号により紀伊半島で深層崩壊が発生しています。

深層崩壊斜面
図1 平成23年台風12号による深層崩壊斜面(奈良県五條市大塔町赤谷地区)

「株式会社エイト日本技術開発 海原荘一」

 

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玉石径はコア長の3倍

玉石とは

  日本道路公団第1集p1-32 10~50cm
  土質工学用語辞典(地盤工学会)p25 玉石 boulder 大礫以上
                 大礫(cobble)6.4cm~25.6cm

 日本道路公団の定義では10cmのフルイに残るものが玉石です。つまり、中径bが10cm以上あればよいので、短径cは10cm以下でも玉石があります。
中山(1965)の研究によれば、扁平度=1-c/bが、河川では0.20~0.50とされているので、c=(1-0.2~0.5)×bであり、中径b=10cmとした場合、短径c=5.0~8.0cmとなります。つまり短径c=5cm程度でもb=10cm以上の玉石であることが多いのです。大礫cobble6.4cmの定義や、ボーリングでの回転による押しのけ効果などを考慮すると、少なくともボーリング確認短径c=5㎝以上は、玉石と呼んでいいと考えられます。(b/cは平均的に1.5前後であることが多いので、b=6.4cmとするとc=4.3㎝、b=10cmとするとc=6.7cmになります)

フルイ上の中間径と長径・短径

ボーリング確認径は短径なので長径は何倍?

 河川堆積物の礫~玉石は、平たく並ぶ傾向があるので、垂直に確認するボーリングでは、短径cを確認することになります。そのため、長径aを推定するには、経験則として3倍されることが多く、下記の図書で3倍の経験則が記載されています。
「ボーリングデーターの見方と活用ノウハウ」、近代図書
「ボーリング図を読む」理工図書

 3倍という数値的根拠のひとつは、Krumbein(1955)の球形度{R=(bc/a2)^0.5} と、河川礫の平均球形度が80%の頻度でR=0.3~0.6にあるとした中山(1965)の研究成果から導けます。中径b=1.5cとした場合、R=1.2c/aなので、a/c=2.0~4.0で、平均3.0です。最大値ではなく、平均的に3倍という意味になります。ということは、遭遇確率や不均質分布を考慮した安全側の値ではありません。

全部が平均3倍なのか?

 子供の頃、河原で水面石飛ばしの礫をさがすと、意外にせんべいに近い礫があったような気がします。つまり、小さい礫は河川の水の摩耗で平坦になり、わりと扁平なものを見つけやすくかった記憶があります。小さめの礫ほど扁平なものが多い傾向は、日本全国の河川で確認されています。
木村(2014)によれば、利根川,天竜川,日野川,高梁川,重信川の玉石の径についていずれも同じような短径依存性があることが確認され、短径10cm以下では1/3程度は3~5倍であり、短径20cm以上ではほとんど3倍未満であることが判明しています。
現場毎に周辺の河川礫を測定し、現場特性に合わせて判断することが望ましいのは言うまでもありません。ただ、遭遇確率や不均質を考慮すると、平均の3倍則を当てはめるのではなく、下式の99%確率の式で推定するのも、ひとつの方法といえるでしょう。

 99%確率での推定式
 河川中流~下流: a/c=7.92c^-0.351   a:長径cm c:短径cm
 河川上流:    a/c=9.54c^-0.378

河川中流~下流(5河川 データ数1530個)
河川上流(5河川 データ数3391個)

「株式会社エイト日本技術開発 木村隆行」

参考文献
村田竹外:「礫・玉石混じり地盤の基礎知識」月刊推進技術,Vol.10 ,No1,pp15~22,1996
今田真治,木村隆行:「玉石における長径/短径の寸法効果」第43回地盤工学研究発表会,2008
木村隆行,居川信之,今田真治「玉石における長径と短径の相関」第49回地盤工学研究発表会,2014

 

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地形判読

地形とは,地表の高低や起伏の形を言います。谷,平野,台地,丘陵,山地,山脈などは,私たちが日常的によく目にする地形です。地球の表面は,断層運動や火山活動等の影響で持ち上がったり沈み込んだりします。さらに,そのようにしてできた高まりは流水や風の作用により浸食され,生成した土砂は流水や重力の作用により移動し,堆積します。このようなさまざまな成因により,多種多様な地形が形成していきます。

地形判読は,地形図や空中写真などを用いて地形を読み解くことにより,その土地の地形の成因を理解し,大地の物語を明らかにする作業です。地形図は同じ標高を線で結んだ「等高線」により地形の起伏などが描かれた図面で,等高線の間隔が広い所はなだらかな地形であり,逆に間隔が密な所は斜面が急峻であることを示します。空中写真は航空機などから地表を垂直に撮影した写真で,測量などにも用いられる極めて精度の高い写真です。

下に示す空中写真と,同じ地域の地形図を例に,地形判読をしてみましょう。ここは徳島県三好市池田町の中心地です。池田町の市街地が広がる図中央の平坦面は,「吉野川」の河床から数十m高い標高にあり,古い時代の吉野川の河床が地殻変動により隆起してできた河岸段丘と考えられています。市街地の北側の山麓を,現在の吉野川が西から東へ流れます。図右端のA地点では,東北東-西南西方向に直線状に延びる山麓斜面がみられます。その西にあるB地点のすぐ南には,標高差は小さいものの,西南西の方向に延びるはっきりとした崖がみられます。図の左の方へこの崖を追跡すると,なだらかな丘陵地形を分断する谷につながり,C地点に達します。A地点からB地点を経てC地点に至るほぼ直線状の地形(リニアメントと呼びます)は,中央構造線と呼ばれる活断層の運動によって形成された断層変位地形と考えられています。連続的な崖は,河岸段丘が中央構造線によって切断され、上下にずらされてできた断層崖です。またC地点からD地点にかけての範囲には,畑が発達するなだらかな丘陵地形が広がりますが,これはかつての吉野川をせき止めた地すべり移動体と考えられています。中央構造線は河岸段丘と地すべり移動体を共に切断していますので,それらの形成よりも後の,ごく最近に活動した(つまり,地震が発生した)ことが地形から読み取れます。

地形判読は,上の事例で紹介した活断層や地すべりといった地表の変動だけでなく,地質構成や地質構造,地盤の硬軟,地下水の状態といった,地質現象に関する様々な事象の推定にも利用されます。建設技術者は地形判読の技術磨き,それを活用することにより,施工対象地ばかりに目を奪われず,広い視野から地形・地質に関する情報を収集し,問題を解決していきます。これにより,災害に強い,安全な構造物が整備されていきます。

「池田町」の市街地は活断層に切断された河岸段丘面の上に発達している


上:国土地理院発行空中写真csi-74-9 c16a-23,24に一部加筆
下:国土地理院発行2.5万分の1地形図「阿波池田」に一部加筆

「株式会社荒谷建設コンサルタント 加藤弘徳」

参考文献
水野清秀・岡田篤正・寒川 旭・清水文健 (1993):2.5万分の1中央構造線活断層系(四国地域)ストリップマップ説明書.構造図(8),地質調査所,63p.

 

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水みち調査

地盤の一部に透水性の高い箇所が存在し、相対的に速い地下水の流動速度を有する区間を地下水流動区間(≒水みち)と言います。水みちの存在を把握することで、河川やため池堤体の健全性評価、土木工事における作業の安全性・経済性評価、地下水保全対策及び地下水汚染対策等に役立てることが出来ます。

水みちの深さ方向の位置を比較的簡便に検出する手法として、トレーサー(地下水と電気抵抗あるいは温度の異なる水)による地下水流動層検層があります。

トレーサーによる地下水流動層検層

  1. ボーリング孔内にトレーサー(食塩水、温水等)を投入します。
  2. トレーサーの濃度・温度の経時変化を定期的(3分後、5分後、10分後、15分後、30分後、60分後、90分、120分後等)に測定します。
  3. トレーサーの濃度・温度(希釈の速さ)の違いより、水みちの存在を検出します(下図参照)。


地下水流動検層結果例
(地盤調査の方法と解説より)


検層機器の例

トレーサーによる地下水流動層検層により、水みちの有無の確認に加え、その水みちの孔内流速の推定が可能となります。

その他の水みち調査手法

  • 他の計測器(孔内流向・流速計、孔内カメラ等)を用いることで、流下方向や実際の流速等、さらに詳細な水みちの情報を得ることが可能です。
  • 調査対象範囲が広域な場合、トレーサー試験、高密度電気探査(別途掲載)及び水質分析等が水みちの存在の絞り込み(初期調査)に際して有効な手法と考えられます。但し、これらの手法の採用にあたっては、事前に現地調査を行い、地盤・地質構造を十分に把握した上で現地調査計画を立案する必要があります。

「株式会社エイト日本技術開発 高津 順」

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鉱物のX線回折分析

原理

X線回折分析は、一般に堆積物に含有しているあるいは基盤岩を構成している鉱物を同定するのに利用されます。原理は、鉱物の結晶内部の原子配列周期とX線の波長とがほぼ同程度であることを利用します。X線が結晶に当ればBraggの条件(図1)で回折が起こり、この現象により鉱物結晶の3次元的な原子配列を把握することができます。結晶の原子配列は鉱物ごとに決まっているので、これより分析試料が保有している鉱物の同定が可能となります。

結果の一例

定方位法で得られた回折図の一例を図2に示します。分析の結果得られた図を回折図といいます。回折図中でとび出た線を回折線といって、その回折線の位置(2θCuK α=角度)から、鉱物の同定を行います。この結果分析した試料には、セリサイト・カオリン鉱物・石英・緑泥石・アルミニウム型バーミキュライトが、含有していることが明らかになりました。この含有鉱物種から分析した試料の、風化・変質状態などの把握を行います。

分析目的および結果の利用方法

X線回折分析の目的やその利用方法としては以下のような例が挙げられます。

  • 岩石種類を判定でき基盤岩の一般的な物性値の把握が可能。
  • 基盤岩の風化や変質程度が把握でき、基盤岩の強度低下の有無や、土木地質的問題点の把握が可能。
  • 地すべりや崩壊の調査では、含有粘土鉱物の種類の把握などから、すべり面や弱線の抽出が可能。
  • トンネル調査では、膨潤性粘土鉱物の有無やその含有量の推測が可能。

分析方法

X線回折分析には定方位法と不定方位法の2つの方法があります。その特徴を以下に整理します。

用途に応じての、使いわけが必要です。

定方位法
鉱物が一定の方向に揃うように試料を水簸し、ガラス板の上などに乾燥させて分析する方法。薬品・加熱処理をほどこすことで、含有する鉱物種の同定を行うことができる定性分析。
不定方位法
試料を粉末にして専用のフォルダにつめて分析する方法。薬品・加熱処理をほどこすことができないので定性分析は不可能であるが、回折線の長さや半価幅などから、鉱物の定量検討が可能。

図1 X線回折の原理
図1 X線回折の原理

図2 X線回折による鉱物鑑定の一例
図2 X線回折による鉱物鑑定の一例。解析データ

((株)エイト日本技術開発 磯野陽子)

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