建設事業における地質調査を例にとり、地質調査業の事業内容について説明します。
地質調査は、次に示す建設事業の企画立案から 維持管理に至る流れの各段階で実地されます。
具体的な仕事の内容について、以下に説明します。
- 1. 文献資料調査
- 現地調査を始める前に、調査地域周辺の地形図、地盤図、空中写真等の地図・写真類及 び既往調査報告書、工事記録、災害記録、地質文献等の既存資料を集め、広域的かつ総 合的な地盤状況を把握し、現地調査の効率的な実施と解析・判定の精度向上に活用します。
- 2. 地表地質調査
- 調査地域の地形・地質及び地盤状況の概要を把握するため、知識と経験の豊かな専門 技術者が、クリノメーターやハンマーを持ち、地形、露頭、転石等を観察してルート マップを作り、地質図にまとめるものです。
- 3. 物理探査
- 地震波や電気比抵抗を利用して、地表面から非破壊で地下の地質構造を探ることができます。 最近では、電磁波、音波などを利用した探査法も多用されるようになっており、遺跡等の調査にも適用されております。 この物理探査の応用技術として、地下の物性値の分布を2次元断面に画像化する 「ジオトモグラフィー」と呼ばれる手法も取り入れられ、より高精度の解析ができるようになっております。
- 4. ボーリング調査
- ボーリング調査は、実際に地盤にボーリングを行い、採取した土質試料や岩盤のコア試料 を直接観察して地質状況を把握するもので、最も直接的な調査手法といえます。採取した資 料を用いて土質試験や岩石試験ができること及びボーリング孔を用いて孔内水平載荷試験 や現場透水試験等の孔内計測や物理検層ができるため、広く利用されております。
- 5. 試験・計測
- 各種の計測器を用い、地盤の物理的・力学的な性質を測定する原位置試験及び試料 を用いて行う室内試験とがあります。原位置試験には、ボーリング孔を利用した試験・計測及 び地上で行うサウンディングなどの試験・計測があり、調査目的により適宜組み合わせて実施 されております。また、室内試験には、土質試験と岩石試験などがあります。
- 6. 調査結果のまとめ
- 既存資料の検討、測量・地質調査及び室内試験が終了すると、これらの調査結果を整理 し、個々のデータを評価し、整合性を検討します。そして、その結果に基づき地質柱状図、 試験・計測結果及び土質・地質断面図等を作成します。
- 7. 解析
- 全てのデータのとりまとめの後、調査目的に応じた解析と判断を行います。その主な内容 は、地層と土性の判定、土質と地盤定数の決定、対象構造物に対する調査結果の検討、設 計・施工に対する助言等で、必要に応じてより高次の解析が行われることになっております。
- 8. 報告書作成
- 解析・判定等の業務が終了すると、報告書を作成します。これは、発注者への成果品とな るもので、いわば地質調査業の商品です。このため、その内容は発注者のニーズに応じた技 術情報が的確に、わかり易く表現されております。