わかりやすい地質百科

鉱物のX線回折分析

原理

X線回折分析は、一般に堆積物に含有しているあるいは基盤岩を構成している鉱物を同定するのに利用されます。原理は、鉱物の結晶内部の原子配列周期とX線の波長とがほぼ同程度であることを利用します。X線が結晶に当ればBraggの条件(図1)で回折が起こり、この現象により鉱物結晶の3次元的な原子配列を把握することができます。結晶の原子配列は鉱物ごとに決まっているので、これより分析試料が保有している鉱物の同定が可能となります。

結果の一例

定方位法で得られた回折図の一例を図2に示します。分析の結果得られた図を回折図といいます。回折図中でとび出た線を回折線といって、その回折線の位置(2θCuK α=角度)から、鉱物の同定を行います。この結果分析した試料には、セリサイト・カオリン鉱物・石英・緑泥石・アルミニウム型バーミキュライトが、含有していることが明らかになりました。この含有鉱物種から分析した試料の、風化・変質状態などの把握を行います。

分析目的および結果の利用方法

X線回折分析の目的やその利用方法としては以下のような例が挙げられます。

  • 岩石種類を判定でき基盤岩の一般的な物性値の把握が可能。
  • 基盤岩の風化や変質程度が把握でき、基盤岩の強度低下の有無や、土木地質的問題点の把握が可能。
  • 地すべりや崩壊の調査では、含有粘土鉱物の種類の把握などから、すべり面や弱線の抽出が可能。
  • トンネル調査では、膨潤性粘土鉱物の有無やその含有量の推測が可能。

分析方法

X線回折分析には定方位法と不定方位法の2つの方法があります。その特徴を以下に整理します。

用途に応じての、使いわけが必要です。

定方位法
鉱物が一定の方向に揃うように試料を水簸し、ガラス板の上などに乾燥させて分析する方法。薬品・加熱処理をほどこすことで、含有する鉱物種の同定を行うことができる定性分析。
不定方位法
試料を粉末にして専用のフォルダにつめて分析する方法。薬品・加熱処理をほどこすことができないので定性分析は不可能であるが、回折線の長さや半価幅などから、鉱物の定量検討が可能。

図1 X線回折の原理
図1 X線回折の原理

図2 X線回折による鉱物鑑定の一例
図2 X線回折による鉱物鑑定の一例。解析データ

((株)エイト日本技術開発 磯野陽子)

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花崗岩の風化

花崗岩は通称「みかげ石」と呼ばれており、粒子の大きさが数mm程度の石英、長石、雲母などの鉱物からなる岩石です。できた時代はいろいろですが、中国地方に広く分布しています。石垣や敷石、墓石などに古くから利用されており、誰もが一度は目にしたことがあるでしょう。また、花崗岩が風化すると「まさ土」と呼ばれる白っぽくてザラザラした土になります。これも園芸などで広く使われています。このように、花崗岩は人間と関わりの深い岩石なのです。ところが、花崗岩からまさ土への風化過程は他の岩石に比べて複雑で、その機構も完全には解明されていません。

花崗岩は一般に、節理と呼ばれる縦や横の亀裂が発達しています。その亀裂に沿って水や空気が進入すると、長石、雲母などが粘土鉱物へと変化して「まさ土」化するのです。亀裂間隔が1m以上の地域では、「コアストーン」と呼ばれる未風化礫(大きいときは直径数mにも達する)がゴロゴロする特異な地形を形成します。また、亀裂間隔が数cmの亀裂密集帯では、水が岩盤全体に浸透するため風化が進行し、地表から100m以上の深さまで「まさ土」からなる「深層風化帯」を形成します。

風化した花崗岩は掘削がしやすい反面、災害の危険性も併せ持っています。まさ土化が進んだ斜面では崖崩れや土石流などの土砂災害がしばしば発生します。また、コアストーンが山腹斜面に点在する地域では落石の危険性があります。さらに、岩自体は非常に硬質でも、亀裂や節理に囲まれた岩塊が崩壊やすべりを起こすこともあります。

このように、花崗岩は風化形態により様々な表情を見せます。我々は、昔の人と同じように花崗岩を開発するだけでなく、上手に付き合っていく必要があります。

深層風化状況(20m以上)
深層風化状況の写真

まさ土の近景(手で簡単に崩せる程度)
まさ土の近景写真

コアストーン(大きいものは径2m)
コアストーンの写真

節理が発達した硬質な花崗岩写真節理が発達した硬質な花崗岩。1m程度の岩塊が節理沿いに抜け落ちている。

「復建調査設計株式会社 小笠原 洋(おがさはら ひろし)」

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