わかりやすい地質百科

秋吉台カルスト台地

西の京、山口県中央部に日本最大のカルスト台地、秋吉台があります。四季折々に雄大な景観が訪れる人々の目を楽しませてくれていることは、ご存じの通りです。

カルスト地形とは、ヨーロッバの地中海に面した国 ユーゴスラビアの北西部に石灰岩の山があるカルスト地方にちなんでいます。カルスト地形は石灰岩によってできているため、石灰岩地特有の地形をしています。

石灰岩はおもに炭酸カルシウムという成分からできています。石灰岩台地に降る雨は空気中の二酸化炭素を含み込んで弱酸性の水となります。さらに土の中を通る時に、多くの二酸化炭素を含みます。この水が、炭酸カリシウムでできている石灰岩に触れると化学反応をおこし、石灰岩を少しずつ溶かします。地表を流れた水は、石灰岩の割れ目から地下にしみ込み、溶食作用が繰り返され、永い間に凹地(ドリーネ、ウバーレ、ポリエ)や鍾乳洞を形成します。このように、石灰岩が溶けてできた凸凹のある地形や地下の洞窟をまとめて、カルスト地形と呼ばれています。

秋吉台の石灰岩は、今から3億5千年前、古生代;石炭紀から二畳紀の時代に海底に堆積したフズリナ、サンゴ、石灰藻などの生物の遺骸によってできた珊瑚礁が隆起したものだそうです。

秋吉台の石灰岩地層は、数百メートルの厚さにおよんでいます。地殻変動などでできた割れ目は溶かされ、少しずつ大きくなり、やがて水路となります。壁や天井が崩れ、さらに大きな洞窟へと発達していきます。また鍾乳石や石筍などの二次生成物が形成され鍾乳洞が生まれます。秋吉台の地下には、大小あわせて約420の洞窟が発見されています。その中の最大規模の洞窟に秋芳洞(しゅうほうどう)があります。

秋芳洞は、30万年の歳月をかけて造られたと言われています全長約10kmのうち観光ルートは、1kmほどで、特別天然記念物に指定されています。

秋吉台カルスト台地の風景
羊の群と呼ばれる石灰岩柱(カレンフェレルト)と凹地(ドリーネ)
秋吉台カルスト台地の風景写真。石灰岩柱とドリーネ

「日本地研株式会社 岩本 義則」

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