地質調査において、断層や地すべり地形などの調査を行う際には、空中写真と呼ばれる飛行機などによって空中から地表を垂直に撮影した写真がよく用いられます。そして、この空中写真を見ていると直線状の模様に気付くことがあります。これがいわゆるリニアメント(線状模様)であり、空中写真からリニアメントなどを見つけ出す作業を空中写真判読といいます。
リニアメントは、直接的または間接的に地下の地質や構造等を反映しているため、断層などの存在による地形とされることが多くあります。これは、断層の存在箇所では岩石が破砕されて周囲より軟質で崩れやすくなっていることから、地形的に窪みとなり、線状の地形をつくるためとされています。しかしながら、線状模様は何も断層によってのみできるわけではありません。例えば、頁岩の層などの軟質な地層、岩脈と母岩の境界変質部、褶曲軸なども線状の地形をつくることが多いので、線状模様すなわち断層というわけではないのです。
また、いかに詳細で鮮明な空中写真を用いてリニアメントを見出しても、写真はあくまで写真であって、現地踏査によるチェックに勝るものはないということを忘れてはいけません。
リニアメントの例(山口県のランドサット画像)
山口県にはNE-SW方向のリニアメントが多い
「東邦地下工機株式会社 田上(たうえ)貴裕」