岩石が地表にさらされてルーズな含水物質に変化する過程を風化作用といいます。
一般的に、風化作用は次の2種類に分けられます。
この風化作用は主に温度変化による差別的膨張と水の凍結膨張で起こります。寒冷地や乾燥地ではよく目立ちますが、温暖湿潤地では次に述べる化学的風化作用の産物(粘土など)と重なってあまり目立ちません。この風化作用は「岩石を崩壊させる」タイプの風化であり、以下に主な原因を示します。
以上の例ではいずれも岩石は細かくなるだけであって、その化学組成は変化していません。このような風化を物理的風化作用といいます。
この風化作用では、岩石は水和・炭酸化・酸化・加水分解・溶解など水を中心とした接触反応で分解され、溶け出す成分と溶け残る成分に分かれます。岩石中の化学成分には水に溶け出しやすいものと溶け出しにくいものがあり、Cl・SO4、Na・Mg・Ca、K、Si、Fe・Alの順で減少していきます。このため、溶け残る側の成分では酸化鉄と水酸化アルミニウムが富化していくことになります。また、溶け残る側の成分はその成分同士で再結合して粘土鉱物を形成します。一般に風化の進行に伴って、Alに富む種類の粘土鉱物が増えていくことが知られています。
Cl・SO4 < Na・Mg・Ca < K < Si < Fe・Al
以上のように、化学的風化作用は主に水と二酸化炭素などの大気中の成分との反応によって行われます。この他、火山地帯では火山ガスが噴出しているため、岩石と強く反応するSO2などの成分が多く含まれています。これにより、火山地帯では岩石の風化が著しく、樹木も育たないため、殺伐とした風景となっています。
また、化学的風化のしやすさには鉱物による差が大きいため、一般に有色鉱物は風化しやすく、無色鉱物は風化しにくいことが知られています。さらに、有色鉱物および無色鉱物ともに高温で晶出する鉱物の方が風化しやすい傾向があります。火成岩では、カンラン石が最も風化しやすく、石英が最も風化しにくい鉱物として挙げられます。
化学的風化に対する抵抗度の一般的傾向
なお、物理的風化作用と化学的風化作用はそれぞれが単独で進行することは少なく、両作用が相互に絡み合いながら進んでいくのが一般的です。
「東邦地下工機株式会社 田上(たうえ)貴裕」