地すべりは大規模な侵食現象の一つであり、一般に頭部付近には馬蹄形状の凹地形、末端付近は凸状の押し出し地形などが形成されます。地形図上では周辺部より緩斜面であったり、等高線の乱れなどから地すべり地として認識することができます。以下にいくつか例を紹介します。
「写真1」正面の山腹斜面(安山岩)に大きな滑落跡がみられ、下方の緩斜面(泥岩分布)で地すべりを生じています。安山岩の山は地すべり地への地下水供給源となっており、これを助長する原因の一つとなっています。
このように地すべり地は地下水が多いことからしばしば水田として利用され、また土壌が撹拌されることから、おいしい米ができると言われています。
「写真2」山頂付近に地形のくびれがあり、土地が陥没したように見えます。岩盤地すべりではこのような陥没帯を形成することが多く、写真からは矢印方向への大規模な地すべりが予想されます。ちなみに日本の地すべりでは比高150mの山が真っ二つに割れ、斜面長700m、すべり面傾斜2~3度で滑動するといったものもあります。
「写真3」地すべり対策ではその断面図を作成し、様々な検討を行いますが、最も重要なのはすべり面形の決定です。
写真は規模の小さい表層すべりですが、本物の地すべり断面であり、珍しいものです。
これによれば中腹部に基岩面の変化点があり、これを境に上部と下部に細ブロック化し、地表面にその影響が表れているのが良く分かります。
「国土防災技術株式会社 瀬崎 茂」