温泉調査とは、対象地域に分布する地質やその構造、および熱源などの存在を科学的方法によって詳細に調べ、温泉の有無やその開発方法(主にボーリング)を明らかにする調査のことです。
調査を行う場合、まず・熱、・水、・通り道(あるいは入れ物)の存在を考えなければなりません。温泉は特殊なものではなく、この条件を満たせば、どこにでも存在する普通の地下資源(地熱資源)です。しかし、このうちの1つでも欠けると、温かい温泉を得ることはできません。
地下を深く掘れば、場所によって程度の差はありますが、地温は次第に上昇していきます。このため、地下深部まで地下水が循環するような規模の大きな割れ目、たとえば断層や破砕帯などが主に温泉開発の対象になります。
調査では、地表に分布する地質を調べることが最も重要です。しかし、これだけでは地下深部の断層や破砕帯の様子などはわかりません。そのため、電気探査(図-1)や放射能探査(図-2)など(物理探査)を行ったり、水銀ガスや二酸化炭素などの土中ガス濃度あるいは湧水などの水質を調べたりして(地科学調査)、温泉開発の可能性を探ります。
温泉は浴用ばかりに目がいきますが、実は資源の少ない日本にあとっては重要なクリーンエネルギーの1つなのです。地熱資源は、その利用方法や技術的な面で、最も進んでいる新エネルギーでもあります。このような観点で、温泉の有効利用を進めていくことが、今後増々重要になっていくものと考えられます。
電気探査(比抵抗2次元探査)の測定風景と解析図
放射能探査(ガンマ線スペクトル法)の測定風景と解析図
「株式会社シマダ技術コンサルタント 岩田 昭夫」