わかりやすい地質百科

赤外線法

赤外線カメラ
赤外線カメラの写真

コンクリートの健全部と浮き部の間で生じる温度差を赤外線カメラで撮影することにより、非破壊・非接触でコンクリートの浮きを面的に検出できる技術です。

コンクリート片の落下は、そのまま事故につながる可能性があるため、この前段階である、浮き・剥離の調査は非常に重要です。

コンクリートの表面温度は、外気温の変化に追従し周期的な温度変化が生じています。浮き部は、健全部に比べて暖まりやすく、冷めやすい温度特性であるため、浮き部と健全部で温度差が生じます(日中の場合、浮き部は高温となります。図1参照)。この温度差を赤外線カメラで撮影することで浮き部を検出します。撮影には一日の温度変化の大きな晴天もしくは曇天が適しています。

主な赤外線法の種類

図1 赤外線撮影例(橋脚部、日中)
図1 赤外線撮影例(橋脚部、日中)

図2 赤外線差画像法の解析例
図2 赤外線差画像法の解析例

図3 赤外線画像解析法の解析例(トンネル)
図3 赤外線画像解析法の解析例(トンネル)

赤外線原画像判定法
赤外線原画像からうき・剥離の判定を行う。
現地で赤外線カメラのモニタ画面上で判定する方法
室内で記録された画像を調整して判定する方法
赤外線差画像法(2回撮影法、土木研究所法)
吹きつけのり面の老朽化診断のために土研で開発された方法。同じ対象物を時間帯を変えて2回撮影し、温度変化量の大きさから劣化部を判定する(図2)。
赤外線画像解析法
熱画像をコンピュータで精密に解析する。原画像の目視では判断できない微小な温度変化までも検出するため、温度変化の小さいトンネルでも適用できる。また、うき・剥離のほかにひび割れも検出できる(図3)。
アクティブ法
対象物を人工的に加熱又は冷却して赤外線撮影し、原画像判定を行う。温度環境等の条件の影響を受けにくいが、加熱/冷却に大きな装置とエネルギー、手間を必要とする。

「基礎地盤コンサルタンツ株式会社 久賀 真一」

 

このページのキーワード。関連するページはこちらからどうぞ。

▲ページの先頭へ