接地抵抗※1を利用した地下水位簡易測定法は、地下水位以浅と以深とで地盤中の接地抵抗の測定値が異なる(地下水位以深は接地抵抗が小さくなる)ことに着目して、地下水位を測定する手法です。従来の地下水位測定法と比較して、‘地下水観測孔の設置を必要としない’、‘粘性土でも放置期間を要せず測定できる’などの特徴を有する技術です。整理方法については、特許出願中※2です。
※1:接地抵抗
金属の電極と土という互いに異なる性質の電気的接続において、必ず存在する電気抵抗のことです。一般には、アース線からの電気を地面に逃がす際の電気の流れにくさを示す指標値です(図1参照)。
※2:特許使用料
特許出願中の技術であり、測定に当たっては実施契約に基づく特許使用料が必要です。
測定する箇所に接地電極E、補助電極P、補助電極Cを接地して接地抵抗を測定します(図2参照)。地下水位を測定する際には、接地電極Eとなる金属棒を地中に貫入させながら、深度方向の接地抵抗の変化を確認します。
実際の地盤調査では、スウェーデン式サウンディングや簡易動的コーン貫入試験のロッドを接地電極Eとし、貫入させるごとに接地抵抗を測定します(図3参照)。この接地抵抗を深度分布図に整理し、その変化傾向から地下水位を判断します(図4参照)。
(方法1)
接地抵抗は、地下水位の上下で1/2~1/10 程度変化します。よって、接地抵抗の深度分布が大きく変化する深度を地下水位と判断します(図5参照)。
(方法2)
接地抵抗の理論値は「地下水位が無い一様な地盤」と仮定した場合、式-1 で得られます。これに対して、地下水位がある場合の計測値は小さい値を示すため、理論値の差に着目し、計測値が理論値から大きく乖離した深度を地下水位と判断します(図5参照)。
R=ρ/2πL×Ln(2L/r) (式-1)
ここに
R:接地抵抗(Ω)
ρ:地下水位より上の大地抵抗率(実測値より設定(Ωm))
L:接地電極の地中部の長さ(m)
r:接地電極半径(m)
「基礎地盤コンサルタンツ株式会社 久賀 真一」
<参考文献>
・柳浦良行ほか:接地抵抗を応用した地下水位簡易測定法,第50 回地盤工学研究発表会,2015
・千葉久志ほか:接地抵抗を応用した地下水位簡易測定法の実施例,第50 回地盤工学研究発表会,2015
・赤坂幸洋ほか:接地抵抗を利用した地下水位簡易測定法のため池調査への適用事例,第 51 回地盤工学研究発表会,2016.