日本道路公団第1集p1-32 10~50cm
土質工学用語辞典(地盤工学会)p25 玉石 boulder 大礫以上
大礫(cobble)6.4cm~25.6cm
日本道路公団の定義では10cmのフルイに残るものが玉石です。つまり、中径bが10cm以上あればよいので、短径cは10cm以下でも玉石があります。
中山(1965)の研究によれば、扁平度=1-c/bが、河川では0.20~0.50とされているので、c=(1-0.2~0.5)×bであり、中径b=10cmとした場合、短径c=5.0~8.0cmとなります。つまり短径c=5cm程度でもb=10cm以上の玉石であることが多いのです。大礫cobble6.4cmの定義や、ボーリングでの回転による押しのけ効果などを考慮すると、少なくともボーリング確認短径c=5㎝以上は、玉石と呼んでいいと考えられます。(b/cは平均的に1.5前後であることが多いので、b=6.4cmとするとc=4.3㎝、b=10cmとするとc=6.7cmになります)
河川堆積物の礫~玉石は、平たく並ぶ傾向があるので、垂直に確認するボーリングでは、短径cを確認することになります。そのため、長径aを推定するには、経験則として3倍されることが多く、下記の図書で3倍の経験則が記載されています。
「ボーリングデーターの見方と活用ノウハウ」、近代図書
「ボーリング図を読む」理工図書
3倍という数値的根拠のひとつは、Krumbein(1955)の球形度{R=(bc/a2)^0.5} と、河川礫の平均球形度が80%の頻度でR=0.3~0.6にあるとした中山(1965)の研究成果から導けます。中径b=1.5cとした場合、R=1.2c/aなので、a/c=2.0~4.0で、平均3.0です。最大値ではなく、平均的に3倍という意味になります。ということは、遭遇確率や不均質分布を考慮した安全側の値ではありません。
子供の頃、河原で水面石飛ばしの礫をさがすと、意外にせんべいに近い礫があったような気がします。つまり、小さい礫は河川の水の摩耗で平坦になり、わりと扁平なものを見つけやすくかった記憶があります。小さめの礫ほど扁平なものが多い傾向は、日本全国の河川で確認されています。
木村(2014)によれば、利根川,天竜川,日野川,高梁川,重信川の玉石の径についていずれも同じような短径依存性があることが確認され、短径10cm以下では1/3程度は3~5倍であり、短径20cm以上ではほとんど3倍未満であることが判明しています。
現場毎に周辺の河川礫を測定し、現場特性に合わせて判断することが望ましいのは言うまでもありません。ただ、遭遇確率や不均質を考慮すると、平均の3倍則を当てはめるのではなく、下式の99%確率の式で推定するのも、ひとつの方法といえるでしょう。
99%確率での推定式
河川中流~下流: a/c=7.92c^-0.351 a:長径cm c:短径cm
河川上流: a/c=9.54c^-0.378
「株式会社エイト日本技術開発 木村隆行」