地盤の一部に透水性の高い箇所が存在し、相対的に速い地下水の流動速度を有する区間を地下水流動区間(≒水みち)と言います。水みちの存在を把握することで、河川やため池堤体の健全性評価、土木工事における作業の安全性・経済性評価、地下水保全対策及び地下水汚染対策等に役立てることが出来ます。
水みちの深さ方向の位置を比較的簡便に検出する手法として、トレーサー(地下水と電気抵抗あるいは温度の異なる水)による地下水流動層検層があります。
トレーサーによる地下水流動層検層
- ボーリング孔内にトレーサー(食塩水、温水等)を投入します。
- トレーサーの濃度・温度の経時変化を定期的(3分後、5分後、10分後、15分後、30分後、60分後、90分、120分後等)に測定します。
- トレーサーの濃度・温度(希釈の速さ)の違いより、水みちの存在を検出します(下図参照)。
地下水流動検層結果例
(地盤調査の方法と解説より)
検層機器の例
トレーサーによる地下水流動層検層により、水みちの有無の確認に加え、その水みちの孔内流速の推定が可能となります。
その他の水みち調査手法
- 他の計測器(孔内流向・流速計、孔内カメラ等)を用いることで、流下方向や実際の流速等、さらに詳細な水みちの情報を得ることが可能です。
- 調査対象範囲が広域な場合、トレーサー試験、高密度電気探査(別途掲載)及び水質分析等が水みちの存在の絞り込み(初期調査)に際して有効な手法と考えられます。但し、これらの手法の採用にあたっては、事前に現地調査を行い、地盤・地質構造を十分に把握した上で現地調査計画を立案する必要があります。
「株式会社エイト日本技術開発 高津 順」