わかりやすい地質百科

オールコアでN値もわかる65型貫入試験

原理

標準貫入試験と同じ打ち込みツール(同じ荷重63.5kg、同じ落下高さ75cm)とし、先端サンプラーのみ外径65mm、内径49mmの市販の打ち込み式サンプラーを使用します。この先端はオールコア採取の風化土などで使用する打ち込みサンプラーです。


  図-1 65型貫入試験状況

  表-1 N値とN65の比較

先端の面積比で、標準貫入試験のN値に対して65型貫入試験では、貫入エネルギーが0.75になり、30cm当たりの打撃回数N65の0.75倍がN値に等しくなると考えられます。

地すべり調査実施の一例(オールコアでN値もわかる調査方法)

地すべり調査では、オールコアによるコア判定で、スベリ面を決めるのが原則になっています。しかし、なかなかコア判定のみで、決めるのは困難です。強度分布を把握するために標準貫入試験を実施すると、コアが部分的であり、データも部分的なので、判断に苦しむことになります。やはりオールコアのコア写真が必要です。
そこで軟岩~風化土の地すべりで、65型貫入試験を連続貫入すれば、連続強度分布も把握でき、かつオールコアでのコア判定も両方できることになるのです。下記は65型貫入試験を用いた地すべり調査事例で、地すべり土塊が攪乱して軟質化しているので、明確に判定できます。


図-2 コア写真と65型貫入試験データの適用事例

N値との相関の例

標準貫入試験は内径φ35mmなので、礫打ちの場合、過大なN値になると言われています。65型貫入試験の強度指標N65は、打撃エネルギーから、N=0.75N65の相関があり、礫の少ない土砂と軟岩で、理論値と同じ相関を得ています。
礫の多い部分では、過去の大型貫入試験のN値が1.6倍という相関に等しく、逆に標準貫入試験の礫打ちの過大評価を補正する効果があります。つまり、N=0.75N65と判断することで、より適正なN値評価ができるメリットもあるのです。礫が混入する地盤調査でも使用されました。


図-3 N65とN値の相関事例

使用の制約

特許はありませんので、誰でも使用できます。また、過去NETISの「CG-110034-A」として登録していました。宣伝不足で今は消えていますが、下記の実績があります。

・岡山県美作県民局での泥岩地すべり調査
・国土交通省近畿地方整備局 神戸港湾事務所での液状化判定地盤調査
・国土交通省中国地方整備局 松江国道事務所での第3紀層地すべり調査

積算方法

標準貫入試験と同じ方法なので、手間も同じで単価も同じです。連続試験の場合もデータ入手区間を標準貫入試験の30cmで割り算し、試験回数としてカウントしてください。標準貫入試験の単価で回数カウント法のみ違います。
たとえば、礫混り土を100cm連続貫入し、最初の10cmをゆるみ範囲として削除した場合90cmがデータ区間です。30cmで割れば3回になるので、礫混り土の標準貫入試験3回の積算になります。

「株式会社エイト日本技術開発 木村 隆行」

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