わかりやすい地質百科

住宅基礎地盤調査のためのサウンディング

サウンディングは地盤調査法の一種で、やじり等のような抵抗体を地盤中にねじ込む、叩き込む、押し込むなどの方法で実際に地盤を破壊させ、その時に必要な力を測定して地盤の強弱を明らかにすることです。サウンディングには抵抗体の形や地盤の破壊方法によって表に示す多くの方法があります。

戸建住宅地での地盤調査には、費用も安く、建物荷重に必要な地盤の支持力を簡単に求めることのできる、スウェーデン式サウンディング試験が広く用いられています。特に住宅性能保証の点からも、敷地内で数点以上を実施して地盤を評価し、それに応じた建物の基礎構造を決定するのに用いられています。具体的には以下のように行います。

  1. 小規模建築物である
    • 砂礫や玉石のない地盤ではスウェーデン式サウンディング
    • 砂礫や玉石のある地盤では機械ボーリングと標準貫入試験(「N値」参照)
      あるいは簡易動的貫入試験
  2. 調査深度は建物幅の1.5~2倍としますが、良好な地盤が確認できれば浅くてもよい
  3. N値または換算N値を求めます[Wsw(N)、Nsw(回)]
    • 砂ではN=0.002Wsw+0.067Nsw
    • 粘土ではN=0.003Wsw+0.05Nsw
  4. N値から許容支持力を推定します
    • 砂では8N(kN/m2)
    • 粘土では10N(kN/m2)
  5. 許容支持力により適合する基礎構造を選定します
    杭基礎を用いないときには置き換えや地盤改良を行います

スウェーデン式サウンディング試験機器
スウェーデン式サウンディング試験機器の写真

自動式試験機による測定状況
自動式試験機による測定状況の写真

地盤の許容支持力
地盤の長期許容支持力度
[kN/m2]
建物の基礎構造
20未満 基礎杭
20以上30未満 基礎杭又はベタ基礎
30以上 基礎杭、ベタ基礎または布基礎
地盤支持力の目安
地盤 長期許容地耐力
[kN/m2]
備考
(Nsw値)
砂質地盤
  • 密なもの
  • 中位
  •  
  • ゆるい
  • 非常にゆるい
  • 300
  • 200
  • 100
  • 50
  • 30以下
  • 400以上
  • 250~400
  • 125~250
  • 50~125
  • 50以下
粘土質地盤
  • 非常に硬い
  • 堅い
  • 中位
  • 軟らかい
  • 非常に軟らかい
  • 200
  • 100
  • 50
  • 30
  • 20以下
  • 250以上
  • 100~250
  • 40~100
  • 0~40
  • Wsw1000N以下
関東ローム
  • 硬い
  • やや硬い
  • 軟らかい
  • 150
  • 100
  • 50以下
  • 50以上
  • 0~50
  • Wsw1000N以下
サウンディングの種類
名称 貫入・
連続性
測定値・
可能深度
推定値 適用地盤 特徴
標準貫入試験(SPTと略す) 動的

不連続
N
調査深度の制限は基本的にない
qu、φ、γt qa、E 全ての地盤
玉石・砂礫では注意を要す
一般的である
ボーリング併用
JISA1219
大型貫入試験 動的

不連続
Nd
調査深度の制限は基本的にない
N値と同様 全ての地盤 玉石・砂礫では注意を要す 砂礫地盤に有効
一般的ではない
簡易動的コーン貫入試験 動的

連続
Nd
3-5m
N、qc、Nsw 全ての地盤 玉石・砂礫では注意を要す 急傾斜地に有効
小規模住宅基礎地盤調査でも使用している
JGS1433
オートマチィックラムサウンディング 動的

連続
Nd
30m
N値と同様 全ての地盤 玉石・砂礫では注意を要す スウェーデンの規格
最近ではSS試験の替わりに多用されている
鉄研式大型動的コーン貫入試験 動的・
連続
Nd
15m
N値と同様 全ての地盤 玉石・砂礫では注意を要す SPTの補助に利用される
鉄研式中型動的コーン貫入試験 動的

連続
Nd
10m
N値と同様 全ての地盤 玉石・砂礫では注意を要す SPTの補助に利用される
土研式動的コーン貫入試験 動的

連続
Nd
1m
N 全ての地盤 玉石・砂礫では注意を要す 道路路床調査に利用される
スウェーデン式サウンディング試験 (SS試験) 静的

連続
Nsw,Wsw
15m
N、qu 全ての地盤 玉石・砂礫では注意を要す SPTより作業が簡単
人力搬入可能
オランダ式二重管コーン貫入試験 静的

連続
qt
15-30m
c 全ての地盤 玉石・砂礫では注意を要す 周面摩擦の影響を受けない
機材の搬入を要す
ポータブルコーン貫入試験 静的

連続
qc
5m
柔らかい粘土地盤 簡易試験
迅速で簡便な器具
三成分コーン試験 静的

連続
qc
30m
c、間隙圧u 柔らかい粘土・砂質土地盤 信頼度が高い
高価な機材
電気的静的コーン貫入試験 静的

連続
qt
30m
c、間隙圧u 柔らかい粘土・砂質土地盤 信頼度が高い
高価な機材
原位置ベーンせん断試験 静的

不連続
τv
15m
非排水せん断強さc 柔らかい粘土地盤 地盤の強度が直接測定できる
孔内水平載荷試験 静的

不連続
p、r
調査深度の制限は基本的にない
変形係数,非排水せん断強さ 孔壁の自立するあらゆる地盤 推定値の力学的意味が明瞭である
ボーリング併用

地盤工学会:地盤調査法1995に加筆

「株式会社ウエスコ 伊藤徹」

このページのキーワード。関連するページはこちらからどうぞ。

わかりやすい地質百科

N値

土や地盤の硬さを調べるときに、地中に鉄筋のような硬いものを打ち込むと、やわらかい地盤では簡単に入りますが、硬い地盤ではなかなか入りません。このように物体を地盤中に押し込んだり、引き抜いたり、回転させたりするときの抵抗値によって地盤の硬軟状況を調べる方法をサウンディングといいます。

N値は標準貫入試験といわれる代表的なサウンディングによって求めた値で、地盤の硬軟や締り具合を示します。標準貫入試験は、質量63.5kgのハンマーを75cmの高さから自由落下させ、サンプラーを30cm貫入させる試験です。このときの貫入に要する打撃回数(50回を限度とします)をN値といい、N=2、N=30のように表示します。

N値は土の工学的性質の概略値として知ることができるため土木・建築の分野では広く応用されており、構造物設計のための地盤の支持力や強度の評価に用いられています。たとえば、N=30以上の砂礫地盤であれば橋を支えることができると評価します。

貫入試験状況 中央がハンマー
貫入試験状況の写真。中央がハンマー。

貫入試験サンプラー
(二つ割りに開いた 状況-右端が先端)
貫入試験サンプラーを二つ割りに開いた写真。

「株式会社ウェスコ 伊藤 徹」

このページのキーワード。関連するページはこちらからどうぞ。

わかりやすい地質百科

物理探査

地盤は、一般的に小石・砂・粘土・水などが多様に混在する土や各種の岩石により複雑に構成されています。光以外の様々な物理現象を仲介として、間接的に地盤の中の物理的性質と状態を地表から調査する手法を「物理探査」といいます。

物理探査法は、対象とする物理量によって「弾性波探査」「電気探査」「電磁探査」「磁気探査」「重力探査」「放射能探査」「地温探査」等に区分されます。下図に電気探査比抵抗法及び弾性波探査屈折法のうち、トモグラフィー的解析を行う高密度電気探査及び高精度弾性波探査屈折法の解析結果例を示します。

地盤調査における物理探査方法の一覧
  方法 物理現象 測定項目 主な利用
弾性波探査 屈折法 弾性実体波 弾性波速度 地盤構成・物性
反射法 弾性実体波 反射係数 地盤構成
音波探査 音波 反射係数 海底地盤構成
常時微動測定 地盤振動 卓越周期 地盤特性
表面波探査 弾性表面波 伝播速度 浅部地盤特性・物性
浅層反射法 弾性実体波 反射係数 地盤構成
弾性波トモグラフィー 弾性実体波 弾性波速度 詳細地盤構成・物性
電気探査 比抵抗法 電流・電位差 見掛け比抵抗 地盤構成・地下水
IP法 電気分極 周波数効果・充電率 熱水変質帯判別
電位法 自然電位 電位差 変質帯判別
比抵抗トモグラフィー 電流・電位差 見掛け比抵抗 詳細地盤構成
電磁探査 MT法 電流・電位 見掛け比抵抗 深部地盤構成
地下レーダー 電磁波 反射係数 深部地盤構成
電磁波トモグラフィー 電磁波 電磁波速度・減衰 詳細地盤構成
その他 磁気探査 静磁気・地磁気 磁気異常 磁性物質分布
重力探査 重力 重力異常 地質構造
放射線探査 放射能 放射線強さ 断層
地温探査 地中熱 地中温度 水みち
リモートセンシング 電磁波 スペクトル 地質構造

解析結果例 高密度電気探査
解析結果例 高密度電気探査

解析結果例 高精度弾性波探査屈折法
解析結果例 高精度弾性波探査屈折法

「宇部興産コンサルタント株式会社 森岡 研三」

わかりやすい地質百科

地質汚染

人間が環境中に放出している廃棄物や廃液には有害物質が含まれています。

それらの大部分は最終的に地質圏(地下)に浸透し、地下水を汚染します(地下水汚染)。また地層粒子を汚染し、地層状の有害人工地層として固定されます(地層汚染)。

さらに、汚染地層や汚染地下水からは有害ガスが発生することもあり、地下空気を汚染させます(地下空気汚染)。

地層汚染(土壌汚染を含む)、地下水汚染、地下空気汚染をまとめて、地質汚染といいます。これら3つの汚染は、互いに関連しながら進行していきます。

汚染現場周辺の正確な地質構造・水理地質構造を調べ、汚染物質の浸透と拡散など汚染機構とその過程を明らかにして対策を講じる必要があります。

地質汚染の調査・対策の手順は、その現場と社会の実状にあわせて、いかに効率よく地層汚染や地下水汚染、地下空気汚染をなくすかが基本となります。

調査・対策現場では、汚染被害の事前調査と対策→汚染機構解明→診断・予測と対策の決定→汚染物質除去対策→監視(モニタリング)、の流れ図に沿って行うのが合理的です。

地質汚染の原因を地質調査や各種の分析調査で明らかにし、その知見を地球環境の保全に生かしていくことは、ジオ・ドクターとしての重要な社会的役割の一つです。

地質汚染の概念図

地質汚染機構解明調査の手順

  1. 既存資料の収集解析+サイトマップの作成
  2. 地下空気汚染調査
  3. 地層汚染調査
  4. 地下水汚染調査
  5. 地質汚染機構の解明

地質汚染浄化の手順

  1. 地質汚染機構解明調査
  2. 汚染浄化のための精査
  3. 最適な場所と技法の選択
  4. 完全浄化

「第一コンテク株式会社 駒崎友晴」

このページのキーワード。関連するページはこちらからどうぞ。

わかりやすい地質百科

活断層と地震

1995年の阪神淡路大震災以降、地震断層や活断層という言葉を耳にすることが多くなりました。断層とは、地殻内部に加わる応力によってひずみが大きくなって割れ目を生じ、地殻がずれ動いて生じたものです。この断層形成や活動(断層活動)によって地震が生じます。地震によってずれ動いた割れ目が地表面に現れたものを地震断層といいます。

活断層とは、ごく最近の地質時代や歴史時代に繰り返し活動した断層であって、将来も活動することが予想される断層のことをいいます。ごく最近の地質時代とは、一般には第四紀(180万年前から現在まで)とされていますが、第四紀の前半で活動を停止した断層もあるために例えば約12万年前以降などもっと短い期間に限定する場合もあります。

「[新編]日本の活断層」には、2,000以上の活断層が示されていますが、確実度の高いものからI、II、III の3ランクに区分され、活動度はある長い期間での平均変位速度の大きさによってA、B、Cの3ランクに区分されています。さらには、活断層の長さから地震規模を推定し、活断層の概略の危険度評価が行われます。

活断層はすぐに地震を引き起こすものではありませんが、活断層が過去にどのような活動を起こしたかを詳細に調べることが、危険度評価をより正確なものとすることができます。このためには断層を横切るトレンチ掘削法により、断層運動の痕跡を調査することが有効な方法とされています。

トレンチ掘削の例
トレンチ掘削例。調査中の現場写真

トレンチで確認された活断層の例
トレンチで確認された活断層の写真

「株式会社ウェスコ 伊藤 徹」

このページのキーワード。関連するページはこちらからどうぞ。

わかりやすい地質百科

リニアメント

地質調査において、断層や地すべり地形などの調査を行う際には、空中写真と呼ばれる飛行機などによって空中から地表を垂直に撮影した写真がよく用いられます。そして、この空中写真を見ていると直線状の模様に気付くことがあります。これがいわゆるリニアメント(線状模様)であり、空中写真からリニアメントなどを見つけ出す作業を空中写真判読といいます。

リニアメントは、直接的または間接的に地下の地質や構造等を反映しているため、断層などの存在による地形とされることが多くあります。これは、断層の存在箇所では岩石が破砕されて周囲より軟質で崩れやすくなっていることから、地形的に窪みとなり、線状の地形をつくるためとされています。しかしながら、線状模様は何も断層によってのみできるわけではありません。例えば、頁岩の層などの軟質な地層、岩脈と母岩の境界変質部、褶曲軸なども線状の地形をつくることが多いので、線状模様すなわち断層というわけではないのです。

また、いかに詳細で鮮明な空中写真を用いてリニアメントを見出しても、写真はあくまで写真であって、現地踏査によるチェックに勝るものはないということを忘れてはいけません。

リニアメントの例(山口県のランドサット画像)
リニアメントの例。山口県のランドサット画像
山口県にはNE-SW方向のリニアメントが多い

「東邦地下工機株式会社 田上(たうえ)貴裕」

参考文献
羽田 忍(1991):土木地質学入門,築地書館,p175.
地学団体研究会(1996):新版 地学事典,平凡社,p1443.

 

このページのキーワード。関連するページはこちらからどうぞ。

わかりやすい地質百科

地質調査手法いろいろ

いろいろな地質調査手法について解説します。

このページのキーワード。関連するページはこちらからどうぞ。

わかりやすい地質百科

わかりやすい地質百科

地質調査業は、建設・防災・環境の分野でジオ・ドクターとしての社会的役割を担っています。

私たちは、私たちの地球がもっと住みやすく、もっと安全であることを願って、日々努力を重ねています。

このような私たちの仕事の概要、調査(診断)方法、調査(診断)機器、解析(診断結果)等の基礎知識をここでご説明します。

随時内容を追加・掲載しますので、ご覧下さい。

このページのキーワード。関連するページはこちらからどうぞ。

わかりやすい地質百科へのリンクバナー

▲ページの先頭へ